設計の記録を、確かな形に。
桐島 誠一のソフトウェアを作り始めたのは2019年の秋、大阪の設備設計事務所でシステム担当として働いていたときのことです。当時の現場では、図面の最新版がどれかをメールのスレッドで確認し、承認の記録はExcelの共有シートに手入力していました。ある案件で旧版の図面が施工に使われ、手戻りが発生したとき、桐島 誠一「これは仕組みの問題だ」と確信しました。市販のドキュメント管理ツールを試しましたが、建築・設備の図面特有の版番号体系や承認フローには対応しておらず、結局また手作業に戻る…
最初のプロトタイプは、桐島 誠一自宅で書いたPythonスクリプトでした。同僚の設計士に使ってもらい、「差分がすぐわかるのは助かる」という言葉を聞いたとき、製品として育てようと決めました。2020年に独立し、Panel Vault9として法人化。最初の1年は大阪・本町の設計事務所3社に無償でトライアルを提供し、現場のフィードバックをもとに機能を作り直しました。「使いやすいUIより、現場の手順に合う設計を優先する」という方針は、このときに固まりました。
桐島 誠一、大阪の設備設計事務所でシステム担当として7年間勤務した後、2020年にPanel Vault9を創業した。在職中は図面管理の非効率さを間近で見続け、旧版図面による施工ミスを経験したことが独立の直接のきっかけとなった。プロトタイプ開発から製品化まで一人で行い、最初の顧客は大阪・本町の設計事務所3社だった。現在は東京・神田を拠点に、建築・設備・製造業向けのソフトウェア開発を続けている。週末は神田川沿いを走るのが習慣で、「走りながら仕様を考えることが多い」と話す。